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父の叫び声が瞬の心に響く。
突然、その叫びが止み、【悪魔】の動きを封じている氷が砕けた。
ゴトリ。と力無く転がる悪魔の体…
「…父…さん…?」
「…そこに居るの…誰だ!!」
急に隼人が叫んだが、瞬には何の事かさっぱり分からない。ただ、隼人の瞳は青色だった…
その時、林の中から声が聞こえた。
「あっちゃ~。バレてる?ちょびっと能力使っただけなのに…君いい勘してるねぇ。それに…居場所までバレたのは、その目かな?」
草を踏む音がして、そちらを振り向くと…林の中から1人、男がこちらに向かって歩いて来る。
その男は白かった。
白い髪、白い服、白いズボン、口にくわえている煙草からは白い煙、白白白白白……
白い男は眼鏡の奥から瞬達を見た。
(何だ?コイツ…何か変な感じがする)
瞬は自分を見ている白い男から、変な感覚を感じていた。
この場の黒い空気には似合わないハズの白い色…しかしこの白い男は何故か、この場に居ても違和感が無い。
この男の白は、汚れている。新品で清潔なさっぱりとした白ではなく、濁って濁って、濁りきった白。
瞬は身震いした。
隼人が再び叫ぶ。
「お前は誰だ!さっき能力って言ったな!?お前もウイルスに感染したのか!?」
すると、白い男はニヤッと笑って煙草の煙をフーッと吐いた。
「感染?レギオンの事?…ま、いっか。それより、俺が何者かって聞いたよな?
教えてやるよ♪俺はこの世界じゃない世界…つまり、異世界から来た。」
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