17才

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誰もいない部屋で、時折過ぎる不安と戦いながら、ユミコは荷造りをしていた。 …この家を出て、どこへ行けばいぃんだろぅ?… …バイトが見つからなかったら、どぅやって生活しよぅ?… ユミコは今日、家出する。 小さい頃から、透明な自分の存在に気付いていた。家族と呼ばれる人達と会話のない日々。親と呼ばれる人の言われるがままの人生。そんな日々が作りだした、空虚な心は、限界を迎えていた。 …逃げたい!!… 心の叫びは、やがて、体を動かした。少しの着替えとお金を鞄にいれて、玄関を開ける。振り向くこともなく、そのまま駅へと走りだした。 駅に着くと、同級生のヒロミと目が合った。 …ヤバイ!!… ヒロミは近所に住むスピーカー女で有名だ。家出を知られたら、きっと親にもチクられる。 …ユミコ!何?どこ行くの?… …関係ないじゃん… …ふぅん。部活ってわけでもなさそぅね… ……… …もしかして、、、集会??… …えっ?… 戸惑う私の顔を見て、ヒロミは、やっぱり!とばかりに目を見張った。 ……… …大丈夫。お父さん達には何も言わないから… ……… …その代わり、今度の集会に連れてって… …う、うん… 軽く返事をして、その場を去った。どうやら、ヒロミの勝手な勘違いに救われたらしい。ホッと胸をなでおろし、ホームへ向かう。 …集会かぁ。。。 夜の街に毎晩響く爆音。追い掛け続けたテールランプ。冬の夜に飛んだトシの体… 思い出したくない!…頭をブルブル震わせて、電車に乗った。
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