biting

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「あぁ。…少しの間にまた腕を上げたな」 最初の声掛けをダミーとし、自分の影を日の光に溶け込ませる戦法は真っ正面からの攻撃ばかりだった先日に比べて考えられているといっても過言ない。  その言葉に「へへっ」と自慢げに成長期を迎えない胸を張り、不足分を付け加える。 「下手に気配を隠して殺気を洩らしたら台無しだから、気配を消すのはアンタを呼んだ後で、殺気を押さえるために剣を抜くのもギリギリまで押さえたんだっ」 「そうか」  自分で考えだした戦法を嬉々と話すラシスは一生懸命顔を合わせるために上を向いている。そしてお気に入りなのか金色に光る髪を触れようといつものように手を伸ばしてくる。 ――… .
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