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そのままだと引っ張られてしまうため、ラシスの手が届くように膝を付き、それでも少し目線が低いラシスだが、満足したかのように遠慮なく髪を触る。
「綺麗だよな、ネメアの髪。キラキラしてる」
夢中になりながら指で髪を梳き、時には軽く引っ張りあげ、戯れ付いている。
「…食べても味などはしないと思うが?」
「うん、甘くなかった」
一房掴んで口に運ぶ様は、赤子のようにも見える。
「甘いと誰かに教えられたのか?」
「ううん。でも美味しそうだな、って食べてみた」
悪そびれる様子を見せず、淡々と『食べてみないと分からないでしょ』という空気を醸し出しているラシス。そのラシスの丸い下顎を右手の人差し指で軽く押し上げ、唇を重ねる。
「ん?」
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