biting

6/16
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
そのままだと引っ張られてしまうため、ラシスの手が届くように膝を付き、それでも少し目線が低いラシスだが、満足したかのように遠慮なく髪を触る。 「綺麗だよな、ネメアの髪。キラキラしてる」 夢中になりながら指で髪を梳き、時には軽く引っ張りあげ、戯れ付いている。 「…食べても味などはしないと思うが?」 「うん、甘くなかった」 一房掴んで口に運ぶ様は、赤子のようにも見える。 「甘いと誰かに教えられたのか?」 「ううん。でも美味しそうだな、って食べてみた」  悪そびれる様子を見せず、淡々と『食べてみないと分からないでしょ』という空気を醸し出しているラシス。そのラシスの丸い下顎を右手の人差し指で軽く押し上げ、唇を重ねる。 「ん?」 .
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!