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「でもさぁ、田崎君変わらないよね。いつも落ち着いてて。私なんか常にバタバタしてるょ」
あれから10年。彼女の屈託のない笑顔は今も健在だ。
「僕だって思ってたょ。佐々木さんはいつもカッコイイなぁって」
「アハハ!それは男前ってこと?」
「や、そうじゃなくてさ。でも途中で高校辞めたじゃない?アレには驚いた。」
「あぁ…学校に興味なかったからね。学歴なんてオマケだと思ってたし、特別行きたい学校でもなかったし。」
「よく進学校の人と一緒にいたよね?」
「ぁあ、お兄ちゃんがそこだったからさ。同じ高校は嫌だったから変えたの。でもお兄ちゃんの友達無視するわけにもいかないじゃない。」
「なるほどね。…って、お兄さんいたっけ?」
「いたよ。母親が蒸発したとか中学の時色々言われてたじゃない。単に体の弱かったお兄ちゃんの看病の為に、付きっきりで大学病院に寝泊まりしてただけ。一緒に暮らしはじめたのは高校からね。私、中学卒業してすぐ引越したでしょ。」
「あぁ、そうだったんだ」
「なに?田崎君も蒸発したと思ってた?」
「や、それはない!!」
「まぁ、色々理由はあったはずだけど…あんま覚えてないや」
「や、佐々木さんがィィならいんでないか。潔くてさ。」
「そうよね。田崎君明日仕事?」
「あぁ、うん。朝一で企画書出さなきゃいけなくてさ。まいるよ」
「そぅ。じゃ、そろそろ帰ろうか」
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