同級生

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高校は彼女と同じだった。 彼女が僕と同じ高校を受験すると聞いて驚いた。 彼女ならもっと上の学校でもいいくらい頭がよく、勉強が出来たから。 実際、幾つか推薦入学の話もあったみたいだし、まさか僕と同じ普通の高校を受けるなんて思いもしなかった。 そんなに親しいわけじゃないから詳しい経緯はわからなかったけど、彼女と同じ高校に行けるなんて僕は少し嬉しかった。 同じ中学からは僕と彼女を含めて数人だけ。中学時代の彼女を知っている人間は少なく、少しだけ彼女に近い存在になれたような気がした。 僕は彼女と同じ汽車で学校に通えるのも嬉しかった。 ただ、中学卒業後彼女は引っ越ししてしまい、たった1駅分ではあったが。 しかし彼女はいつも別の進学校の生徒と一緒にいた。 その姿は楽しそうで、僕は彼女と笑いあえる他校の生徒がうらやましかった。 それでも時折僕と目があうと笑顔で軽く会釈をしてくれた。 やはり高校でも彼女にちょっかいを出す男子生徒はいた。 ただ違うのはそれが上級生だってこと。先輩達は彼女が選択科目で教室を出る時や、購買へ行く時なんかに悪戯をして彼女が困るのを楽しんでいるように見えた。 僕はそれを見るたび気分が悪くなっていたんだけど、呆れ半分で上手くかわしている彼女を見て大人だなぁって感心していた。 それからほどなくして彼女にある噂が立ちはじめた。
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