三崎 栄司

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帰りの会で先生の口から聞いたことは、「今日は専門委員会があるから、委員会に入っている人は忘れるなよ」という何とも聞いたのを無かったことにしたくなる内容だった。 非常に面倒だ。 ああ、面倒だ。 俺は小さくため息を吐いた。 福祉委員会は1年生から続けている。 なんで委員会なんかに入ったかというと、なんでも委員会に入らなかった奴は、クラスの係に入らなきゃいけないからだ。 クラスの係りと比べて、まだ委員会は退屈しそうに無かったから、俺は委員会の方を選んだ。 掲示係、黒板係、環境係等々、いろいろと楽そうなものも多い。 だがしかし、面倒なことが嫌いで楽なことが好きな俺が何故福祉委員会を選んだか? “あいつ”も福祉委員会だと少し耳に挟んだからだ。 “あいつ”とだったら退屈しないし、楽しいだろうと俺は考え、福祉委員会を選択した。 そして、1クラスから2人の委員を出さなければならない。 俺に加えてもう一人、“こいつ”も福祉委員会になった。 そいつは隣で真面目そうに先生の話を聞いている。 “あいつ”に加えて“こいつ”もいるので、なかなか楽しそうに思えた。当初は。 実際委員会を開いてみると、これが。 時々“あいつ”と話すだけで、“あいつ”はすぐに黒板に向き直る。 そして“こいつ”はずっと黒板に集中しているという困った真面目ちゃんだ。 つまり、福祉委員会は俺一人取り残される時間となるわけだ。 それだから、委員会に行ってもあまり楽しい気はしない。 しかし、今日“あいつ”が沢山話しかけてきてくれたら楽しくなる。そんなものだ。 まあだけど、今日はとても眠いから、早く帰って寝たい。これが一番の本音。 なのに、なんだこの仕打ちは。有り得ない。 二回目のため息をした。 何、ため息なんかしたって幸せは逃げない。 感情表現だ。  
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