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帰りの会を終えると、俺は“こいつ”を置き、先に委員会を行う別の教室に向かった。
中に入ると、5、6人の生徒が席に座っているだけで、他の生徒はまだ立ったまま会話などしている。しかし、委員会の最中はあまり賑わってはいない。
俺は席に着き、フゥッと息を吐いた。
“あいつ”はまだかな。
そんな事を思った直後だった。
「栄司」
突然後ろから声がした。
また後ろからか。
振り向くと、そこには一人の顔の整った少年。
表情は笑ってもなく、不機嫌そうな顔でもなかった。
何て言うか、凛とした空気を漂わせている。
「お、憲二」
よう、と憲二は軽く手を上げる。
「お前、いつの間にこの教室にいたんだよ」
「ああ、栄司の後ろにずっといた」
まじかよ。
後ろにいたなら声かけろよ。
「憲二にはストーカーという困った趣味があったのか」
とりあえず、苦笑いする。
「んでさ、委員会いつ終わるかわかる?」
憲二が訊いた。
「……4時半くらいじゃない?」
俺は曖昧に答える。
だって知らないし。
「そう」
憲二はそう言ってカバンを机の上に置き、俺の後ろの席に座った。
終わる時間か。
俺も知りたいくらいさ。
「皆さーん、委員会始めますよ」
教室の前のドアから出てきた委員長が皆に声をかけた。委員会はメガネをかけたおさげの三年生で、よく漫画で見るような身なりだ。
はあ。
もっと賑わった委員会にしてくれればいいのに。
仕方ない、憲二と話すか。
それともたまには真面目に受けてみるか。
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