三崎 栄司

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「三崎くん?」 ――……うん? ……また寝てたみたいだ。 時計を見ると、針は4時12分を示していた。 少し寝たな。 顔を左横に向けると、“こいつ”が片手にシャーペンを持ちながらこちらに顔を向けていた。 “こいつ”はおとなしそうな雰囲気をかもし出している。 「……中原、どうした」 「どうしたって……三崎くんも同じ福祉委員なんだから、ちゃんと報告書…書いてください。2-5の福祉委員は私だけじゃないんですし」 少女、中原 優は困った表情をする。 「あ、ごめん」 「どこか…調子でも悪いんですか?」 心配そうに声をかけるも、俺はすぐに「いや、別にどこも」と否定した。 「そうですか。じゃあ、しっかり書いてくださいね」 「あい」 中原は再び黒板に顔を向けた。 食い入るように黒板に書かれている字を見つめ、シャーペンの音を途切れさせない。 中原。 顔が良くて、真面目ちゃん。 普段は面白いのに、ああ、真面目って。 てゆーか昔からそうだったからな。 ちなみに矢部、中原とは小学校からの付き合い。 何故名字で呼んでいるかというと、名字の方がしっくりくるからだ。 特に気にしてない。 俺は黒板に目を向けた。 すると不意に背中を何かでつつかれた。 振り向くと、俺に向かって憲二が手を皿にして向けていた。 「何?」 「消しゴム貸して」 …お前も真面目だなぁ。本当に。 結局、憲二も真面目だし。 また俺は取り残された。 俺も真面目に委員長の言葉を聞けばいいのだけど、聞いてられない。 そう簡単に性格は直らない。 そう思っているから性格が直らないのだと思うけど。    
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