1047人が本棚に入れています
本棚に追加
「三崎くん?」
――……うん?
……また寝てたみたいだ。
時計を見ると、針は4時12分を示していた。
少し寝たな。
顔を左横に向けると、“こいつ”が片手にシャーペンを持ちながらこちらに顔を向けていた。
“こいつ”はおとなしそうな雰囲気をかもし出している。
「……中原、どうした」
「どうしたって……三崎くんも同じ福祉委員なんだから、ちゃんと報告書…書いてください。2-5の福祉委員は私だけじゃないんですし」
少女、中原 優は困った表情をする。
「あ、ごめん」
「どこか…調子でも悪いんですか?」
心配そうに声をかけるも、俺はすぐに「いや、別にどこも」と否定した。
「そうですか。じゃあ、しっかり書いてくださいね」
「あい」
中原は再び黒板に顔を向けた。
食い入るように黒板に書かれている字を見つめ、シャーペンの音を途切れさせない。
中原。
顔が良くて、真面目ちゃん。
普段は面白いのに、ああ、真面目って。
てゆーか昔からそうだったからな。
ちなみに矢部、中原とは小学校からの付き合い。
何故名字で呼んでいるかというと、名字の方がしっくりくるからだ。
特に気にしてない。
俺は黒板に目を向けた。
すると不意に背中を何かでつつかれた。
振り向くと、俺に向かって憲二が手を皿にして向けていた。
「何?」
「消しゴム貸して」
…お前も真面目だなぁ。本当に。
結局、憲二も真面目だし。
また俺は取り残された。
俺も真面目に委員長の言葉を聞けばいいのだけど、聞いてられない。
そう簡単に性格は直らない。
そう思っているから性格が直らないのだと思うけど。
最初のコメントを投稿しよう!