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ビクッ!!
ああ…来た。私を“雪さん”と呼ぶのは危険信号の合図
ゆ、許して下さい…あの仕事…
「時間、あるよな?」
一歩踏み出した足は振り返って見る悪魔のような笑顔で有無も言えないまま引きつった笑顔を零す
「…ふぁい……」
遅刻決定ーっ!!
「あの、えっと…何でしょうか翼様…」
体育倉庫の中に座らされ手首をネクタイで縛られてる状態です。ああ…こんな子に育てた覚えはない!!
「育てられた覚えはねえ」
エスパー!?
「…他の奴らが雪を見てた」
「はい?」
心を読める翼くんに内心焦りまくりで悲鳴上げていたらポツリと小さな声で一言
「……妬いた」
あらら…。いきなり縛り上げたと思ったら今度は真っ赤になってる。…反則だ。私はそういうヤキモチの仕方に弱い
不器用で嫉妬深くてそしてその姿が愛おしい…
「…こんな俺、嫌いになったか?」
ブンブンと首を横に振る。そんな事で嫌いになるわけない
嬉しい。そのヤキモチが本当に愛おしい
「…笑うなよ」
「だって可愛いもん」
思わず声に出して笑ったら益々赤くなる。本当に可愛いなぁ…
「…雪」
ほのぼのなムードが流れて暫く後に凛とした声が倉庫に響く。それは“男”になる瞬間の声
真っ直ぐ見つめる熱い眼差し。近付く顔
胸がときめいて瞼を伏せた。メチャクチャな展開にメチャクチャなヤキモチ
だけど、全部ひっくるめて私は翼くんが……
「好きだよ翼くん」
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