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「香住メイク濃いよ!」麻里が笑いながら私の頬を撫でる。
「チーク付けすぎたかな~」
「オカメインコみたいになってるよ」
なんだかんだ言っても気合いが入る!
「今日はずっと私が隣にいるからね!」
麻里が私の肩に手を置く。
「ここみたいだね」
麻里が看板を指さす…深呼吸をしてお店にはいろうとした時だった…
「ちゃん…香住ちゃんだろ!」
不意に名前を呼ばれて振り向いた。
そこには私のトラウマの原因となった私の処女をうばった奴が立っていた……
「誰?」
麻里が小声できいてきた………
「トラウマ…」そう答えるのが精一杯の私…
「綺麗になったから一瞬わからなかったよ~」
……この男…有り得ない…
「あの、香住あなたの事しらないみたいなんで」
麻里が機転を効かせて私の手を引っ張り店にはいろうとした…烽、片方の手を誰かが引っ張る…奴だ!
鳥肌が立ち振り払おうとするがもの凄い力でにぎりしめる。
「なんなんですか!離して」
麻里が奮起する「彼女関係ないじゃん!」
「は…離して…さっさわらないで…」
やっとの思いで声を絞り出す
「あれ~っ、久々だから照れてる~」
勝手な思い込みだ!二人に手を捕まれまるで捕われた人状態…
通行人がジロジロみていく…
「これから私たち合コンなんです!迷惑だから離して」
麻里が物凄い剣幕で彼に言い放つ。
「合コン?駄目だな~香住~俺がいながら。」
なっなんなんだ!こいつ…呆れて思考回路停止。
呆然としてる私に奴が耳打ちしてきた。
「ホテル行く?」
人を死体なんて言っておきながら、なんて奴なんだ!こんな奴に…こんな奴のせいで私がどれだけ傷ついたか。
…悔しさなのか情けなさなのか、わからない感情で涙がでてきた…
力が抜けてしゃがみ込む…二人の手がはなれる…合コンどころじゃないよ…
「大丈夫?」
彼氏気取りで心配そうに聞いてくる。もう消えてくれ…私の前に二度とあらわれるな!
声にならない…
「香住…立てる?」
麻里の声になんとか立ち上がるが足に力が入らない…二、三歩歩き始めるがよろけた私を、後ろからすっぽり包み込むように支えながら
「どうかした?」
と、声がした…そのままずっと包まれていたいこの安心感は…誰?
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