始まりは、意識の些細な覚醒から

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始まりは、意識の些細な覚醒から

 何かのきっかけで、目が覚める。辺りの風景には、まだ見覚えがあった。よかった、寝過ごしてはいない。時計を見る。三十分も眠っていたようだ。  それにしても、今日はバスが遅い。そして、日が落ちるのも。太陽も、自分の役目が終わってしまうのが、嫌なのだろうか。夕焼けという残照に必死にしがみついて、僕らの目を鈍く、原色で染めている。 ―次、とまります 停車スイッチの赤紫の光と、機械のアナウンスが知らせる。バスには、もう、そんなに人もいない。一日の思い出を賑やかに脚色して語る、高校生や、中学生も乗っていない。
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