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「仕方ない……」
飯が冷めないうちすませよう。
そう決めて京介は立ち上がり、リビングを出る。
キレイに掃除された廊下を抜け、ちょっと傾斜がきつめの階段を登った先。
二階にある2つの部屋のうちの一つ、一番奥の部屋が音の出元だ。
京介は着くなりノックもせずガバッと勢いよく扉を開け部屋に侵入する。……と、そのまま――
「うわぉ!?」
勢いよく仰向けに転んだ。幸い頭は打たなかったようだが背中が痛い。
「いってぇ……」
痛みを堪え、天井を見ながら思う。
……ええい、くそっ!また脱ぎっぱなしか!?
背中を擦りながら起き上がってみると京介の予測通りスーツやらワイシャツやらスカートやらがあちこちに散乱している。
そして、あった。部屋の隅に。今日も時間通りに、律義に働いた目覚まし時計の無惨な亡骸が。針は外れ、電池がころころと飛び出し、さらには内部の機構がちょっとだけさらけ出されている。
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