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脱出しようにも二本の手が首の後ろあたりをがっちりとホールドしていて抜けそうにない。
「あ、あ、あぁ……」
なんとかしなければ、なんとかしなければ、なんとかしなければ!でないと、眼前にある、こ、この、胸の膨らみが……ぬあぁ――!?
「あ、あ、姉貴ぃ――っ!いい加減に、お、起きろぉ――っ!」
もはや悲鳴に近い努声。京介の感情をぶちこんだその声でそいつはようやく完全に目覚めた。
「んん、んあぁー!眩しい……ってあれぇ……京ちゃん?なんであたしのベッドに?てか……具合悪いの?なんだか顔色悪いよ?」
「うるさい、お前のせいだ!ぜぇはぁ……」
ようやく解放された京介の顔はあからさまに歪み、冷や汗でびっしょり。
「んー……あー……そっか、なんとなく分かったぁ。夜這いなんだ?」
「違うっ!」
マラソンした後のようなとてつもない疲労感が京介を襲った。
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