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京介の姉、叶野優子はキャリアウーマンだ。ぽわわーんとした性格だが仕事はよくできるらしく、24歳という若さながら勤めているファッション系の会社ではかなりいい業績を残しているらしい。
今も新しい企画を立ち上げているとかなんとかで相当頑張っている。
そしてそのせいか、帰りもかなり遅く、毎日ぐったりして帰ってくるのだ。
そりゃ、大変だと思う。毎日毎日、えらいと思う。事故で両親を失った京介にとっては唯一の肉親だし、我が家の大黒柱でもある。感謝の気持ちはそれこそ尽きない。
そして、だからこそ働き詰だった姉に代わり家事の一切を京介がやっている。が、しかし、それとこれとは話は別だ。
「眠たいのは分かるが、下着だけで寝るのはやめろって言っただろ!パジャマを着ろ、パジャマを!ちゃんと用意してあるから!」
朝食の席、若干冷めてしまったトーストを前にして京介は優子に向かって言う。
どうやらすっかり目覚めたらしい。優子は京介が用意した朝食をテーブルで悠々と食べていた。さすが美人、スーツ姿がなかなか様になっている。
「仕方ないよ~ぅ。部屋に着いたときもう意識なんかないんだもん。シャワー浴びてぇ……気付いたらもう朝なの。まぁ……裸よりはいいでしょ?」
「当たり前だっ!」
もちろん即答。
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