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「それにぃ、見られたってどーせ京ちゃんだけでしょ?別にいいじゃ~ん。……あ、それとも、あたしのビボーにやられちゃった?」
言って意地悪っぽく笑う優子。
「なっ!?……んなわけあるかっ!」
「えぇ~。そんな思いきり否定しなくてもいいじゃ~ん。ぶーぶー」
今度は口をすぼめて抗議の姿勢。大人っぽいルックスなのに子供な仕草。そのギャップとあまりにへにゃへにゃな顔に京介は一瞬思わず厳しい表情を崩してしまう。
あっ……と気づいた時にはもう遅く、
「あー今笑ったでしょ~!笑った笑ったー!あははっ!やったぁー!」
どうやら策略にはまったようだ。なんだか悔しい。
「わ、笑ってねぇ!」
「ふふふ……」
京介は苦し紛れにそっぽを向く。だがそれがいけなかった。
いつもそうだ。
一瞬視界から外れただけ。どこにそんな素早さがあるのか、たったそれだけの間に優子は音もなく京介の背後に回り込んでいる。そして、
はぐっ
「ぬわっ!?」
「も~京ちゃんってば素直じゃないんだからぁ~。うふふ……」
抱きついてくるのだ。恐ろしいことに。
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