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あんなことを言っていた真実が、目にいっぱい涙を浮かべて、こちらを見ていた。
僕には訳がわからなかった。
今まで真実が泣いていたところは見たことがなかった。
しかし真実は泣いている。
頬にたくさんの涙のすじができていた。
僕は思わず聞いてみた。
「なんで、泣いてるの?」
真実は怒り口調でこう言った。
「なんで?あんたがいなくなったら悲しむ人がいるとか考えなかったの?」
「考えたよ。でもそういう人はいないと思った。だから死のうと思ったんだ。」
「なんで、なんでもっと早く私に言ってくれなかったの?」
「なんでって、言ってもしょうがないだろ。」
そう言うと、真実は再び怒り口調でこう言った。
「ひどいよ、あたしがそれを聞いてどれほどショックを受けたか分かる?」
問われたが、僕は答えられなかった。
「いつも一緒にいて、いつもあんたを見てきたけど、こんな気持ちになったのは初めてだよ。」
涙を流しながら言われたため、何も言えなかった。
その時確かに僕は間違ったことをしたかもしれないと思ったが、僕の気持ちはここに来る前と変わらなかった。
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