決意

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僕はまだ死のうと思っている。 早く自由になりたい。 僕は家に帰って続きをしなければならなかったので、真実に言った。 「真実には悪いけど、これはもう決めたことなんだ。だから早く家に帰って続きをしたいんだ。」 そう言うと、僕はベンチから立ち上がって、後ろを振り向かずに、自転車に向かって歩きだした。 すると真実がいきなりこう叫んだ。 「ふざけるな!!!!!」 それは泣きながらも精一杯出した声だった。 僕は思わずびっくりして、後ろを振り返ってしまった。 真実はこちらを見ながら立っている。 先ほど真実が叫んだせいか、住宅街に点々と明かりが灯り始めていた。 「いきなりなんだよ。」 真実は寂しげに呟いた。 「どうして…。」 僕はぶっきらぼうに言った。 「だから言ってるだろ。俺はもう…。」 そこまで言いかけたが、それ以上は言えなかった。 気がつくと、真実は僕に抱きついていた。 「なんだよなにしてるんだ、いきなりお前は。」 また真実は寂しげに呟いた。 「だって、こうしないと、死んじゃうから…。」 暫くそのまま無言になった。 辺りには再び静けさが戻り、暗がりがまたできる。 沈黙を破ったのは、僕だった。 「放してくれないか?」 しかし真実はさらに力を込めて抱きしめる。 「いやだ。だって死んじゃうじゃん。」 僕は言葉に詰まってしまっていた。 再び沈黙が訪れる。 だんだんと真実がぼやけて見えてくる。 これは手首を切った時の出血のせいなのだろうか。 しかし、意識はしっかりしていた。 気がつくと、真実が輝いて見えた。 それは僕の涙だった。 あれ? どうして僕は泣いているんだ。 泣いてしまうようなことをした覚えはないのに、悲しくはないのに、涙が止まらなかった。 しかし僕は最後の一言を言った。 「さようなら。今までありがとう。真実。」 そう言って僕は真実から離れて、自転車のもとへ歩みを進めた。
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