帰り道

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いつも通りの自分に戻れて、ほっとしながら帰っていると、急に昨日のような暗い気持ちになってしまっていた。 だんだんと帰る気がなくなってくる。 自分がなんでこんな所で生きているのか考え始める。 よくよく考えると、僕はただ人の群れに入りこんでいるだけなのだった。 人は支え合いながら生きていくというのは本当だろうか。 支えてもらえないで死んでいってしまった人のことを考えたことがあるのだろうか。 僕は今同じ状況にいるのを感じた。 これから何をしても似たような人生しか送らないだろう。 それなら今苦しんだりすることはないじゃないか。 そう思った僕は、帰宅して自分の部屋でカッターを取り出した。 このまま手首を切ってしまえば楽になれる。 煩わしい人間関係も忘れることができる。 下では母さんや弟が何かしていたが、母さんは本気で僕のことを考えたことはなかった。 なんでこんなとこにいるんだろう… その答えが、今やっと分かった。 そうだ、死ねばいいんだ。僕一人が消えても、地球からしてみればアリが一匹死んだぐらいのことと同じなのだから。 そう思った僕は、ゆっくりと手首にカッターをまわした。
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