なくしたことば

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 何か早速、前途多難な感じがするのはオイラだけ? 「ご主人~街見えませんね~」 「………」 「ご主人~草原ばっかでオイラ飽きて来たよ~」 「………」 「ご主――」 「うるせぇっ! ごちゃごちゃ言うと煮て喰うぞ!」  イライラするのも分かるけどさぁ、煮て喰うぞって。  それにしても、見事に何にもないなぁ?  何処を見たって人の姿なんか見当たらない。  見えるのは暗幕に粉砂糖をちりばめたような空と、それに溶けて境目の分からない水平線だけ。  あぁ、粉砂糖かぁ。腹へったなぁ。  どれくらいオイラ達は歩いたんだろう。 「あぁ、もう嫌だ! 歩きたくねぇ!」  唐突にご主人は叫び、ゴロンと地面に寝転んだ。  もう嫌だって、ご主人。まだ大して歩いてないんだけど? 「ご主人? こんな所で寝ると風邪ひきますよぉ? それに、今日のうちに街に着かなければ、食べる物だって……」 「大丈夫だって、神の思し召してっ奴があるさ」  ご主人は何の根拠もなくそう言った。   神の思し召しって、ご主人、その神様に怒られてここにいるんじゃないの?   幸いにも空に雲はかかってないし、気温も丁度良いくらいだ、これなら寝ることは出来そうだけど。 「じゃあご主人、今日はここで休むけど、明日はちゃんと街を探しましょうね?」 「……」  もう寝てるよ……
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