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金髪少女はゆっくりと立ち上がり、チラリと僕を一瞥する。
改めて見ると、感情の読み取れない無表情をしているが……かなり可愛い。
染色や脱色では出すことができない、艶やかな金髪を左右に結び、ツインテールにしている。
力を入れて抱き締めれば壊れてしまいそうなほどに華奢な身体は、山吹色のブレザーに、赤いチェックのスカート、紺のソックスにローファーを身につけていた。
どこかの制服だろう。
……何だか普段よく見かける制服なのは気のせいか?
金髪少女は視線を外し、クルリと背を向けると、テクテクと歩いていく。
「ちょ、ちょっと!」
慌てて呼び止めた。
彼女はこちらを振り返る。
数秒、こちらを見つめた後、
「…よし。」
ぼそりと呟き、そのまま去ろうとする。
「ちょ、「よし」って……いやそこで不思議そうな顔しないでよ」
首を傾げる少女に、僕は詰め寄って肩をつかむ。
「さっきのは一体…?」
僕の質問に彼女は一言、
「…鈴。」
「いやいや、そうじゃなくて…今起きたことを説明して欲しいんだけど」
「…アナタが、ワタシのカラダを、触って…いる?」
「僕が痴漢みたいだよそれ!?」
「ちかん。」
「違う違う!えぇと…キミは僕を助けてくれたんだよね?」
コクリ、と頷く。
「んと…とりあえず…」
素直にお礼を言うことにした。
「ありがとう、キミのおかげで助かったよ」
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