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金髪少女はプリンを食べ終えて満足なのか、僅かに微笑を浮かべている。ほっぺたに付着したカラメルソースには気づいていないようだ。
「説明、ナニをする?」
そのほっぺたのまま、真面目口調で言うもので、笑いを堪えながら考える。
ん?僕、まだこのコの名前を知らないぞ?
「そういえば自己紹介がまだだったね。僕の名前は小沢佑(おざわ たすく)、高校2年で16才。キミは?」
金髪少女もそこで初めて、自分が名乗っていないことに気づいたようだ。
「美鈴(みすず)。11才。」
美鈴ちゃん…か。
見た目通り可愛い名前だな。
「じゃあ美鈴ちゃん」
と、美鈴ちゃんが首を横に振った。
「ちゃん、いらない。ワタシ、美鈴。」
「え…ああ分かったよ。じゃ、改めて…美鈴。さっきの女の子は一体何者なの?」
まさか人間ということはないだろう。
溶けたし。
「あれ、『影』。『光喰らい』に『光』を食われた人間。」
「光喰らい?」
聞いたことのない言葉だ。
「光を食べる怪物。全部で12人いる。」
「光を…食べる…?」
「そう。人間の中、『光』と『影』がある。『光喰らい』、『光』大好き。」
「光と影…?僕にもあるの?」
美鈴は頷く。
「人間みんなある。でも『光』食べられてなくなると、『光』欲しくなる。だから『影』、他の人間襲う。」
「じゃあさっきの女の子は僕から『光』を奪おうとしてたんだ…。でも具体的にどうやって食べるの?」
「光喰らい、人間に触ると、奪える。『影』、殺してから、奪う。」
影の下手くそ…。
「あと、一度『影』になると、腕力強くなる、でも人間に戻れない。たくさん食べても、だめ。人間殺すだけ。だからワタシ、『影』を狩る。光喰らいも、狩る。」
ふむ…なんだか凄い話になってきた…。
ただ、実際自分が殺されかけたおかげで
、その突拍子もない話を自然と受け入れられた。
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