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東京各地で起こっている、謎のテロリストによる市民への攻撃は拡大していた…。
僕は自宅のパソコンでその事を確認していた。
この近辺ではまだ被害は出ていなかったために、どんな状況なのかがよくつかめなかった。
しかし、掲示板ではその実況がされていて、一言一言が実に生々しく書かれていた。
父、母は仕事が休みだったので実家の長野に帰っていた。
だから、両親の事を心配する必要がなかったため、よかった。
だが、僕は東京にいる。
僕自身にいつ被害が来るか、わかったものではないのだ。
<脱出方法はあるのか?>
僕はネットの皆に訪ねた。
そして、十秒も立たないうちに返事が返ってきた。
<東京の周りにはバリケードが張られていて、脱出は難しいと思うぞ>
僕は再度、訪ねた。
<なら、地下鉄からは?>
<無理だ…。
地下鉄はどこも既に占拠されているよ>
これで僕達、東京市民の現状が掴めた。
逃げ道がない。
あの臨時放送で話していた男の言葉が今になって理解できた。
最後に質問に応えてくれた人達に<ありがとう>と送って、僕はパソコンの電源を落とした。
今から生き残る為の準備をしなくてはいけない。
(まずは、身を守るための武器を探さなきゃ…)
僕は台所から、棚に閉まっていた包丁を持った。
大体、25センチ位のどこの家でもありそうな身近な包丁だ。
切れ味も良くはないが、悪くもないと言った所だろう。
僕は武器を確保した後、冷蔵庫からお茶を取り出して、コップに注いだ。
それを一気に飲み干すと、ノートパソコンが入ったリュックサックを背負う。
そして、靴紐をしっかりと結び、玄関のドアを開けた。
「……行ってきます」
久しぶりに言ったこの言葉。
それは誰に言った訳でもなく、ただ自分自身に言い聞かせたかっただけなのかもしれなかった…。
<所持品>
・ノートパソコン
・包丁
・
・
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