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私は携帯の臨時ニュースを読みながら、生き残るための準備をしていた。
ニュースには<東京、侵略の危機!?>と書かれており、とても正気の沙汰とは思えなかった。
しかし、だんだんと近所の人達にも広がっていき、あの仮面の男が言った言葉が本当の事だったのだと思い知る。
私は机に置いていた銃と、そのマガジンをホルダーにしまう。
「まさか、実際にこれを使うとはね…」
的しか撃ったことがない私に果たして人が撃てるのか…。
自分が生き残るためには仕方ないとは思うが、実際対面したら多分迷ってしまうだろう。
準備を整えた後、私は玄関扉を開けて、外へと歩いた。
まだ、行き先は、
……決まっていない。
自宅を出て、10分が過ぎていた。
私はこの現実から、逃げるようにただがむしゃらに走っている。
まだ、テロリストには会ってはいないものの、いつ遭遇するかわからないという恐怖がひしひしと私を追い詰めていった。
…そう。
もう東京は銃声と市民の悲鳴で満たされていた。
途中、地面に倒れている死んだ人達に見とれてしまうが、それらを振り切り、私は懸命に走っていた。
気づけば、私はかなり前に廃棄処分が決定された病院の前に来ていた。
周りからは人の気配が感じられない。
(ここでひと休みしよっか…)
体力的にも精神的にも疲れきった私は、この廃棄病院でやり過ごす事に決めた。
そして、私は病院の正面玄関をゆっくりと入っていった。
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