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病院内は電気が壊れていて、真っ暗だった。私はまず、ロビーへと行き、懐中電灯なる物を探した。
廃棄された病院だからか、ロビーは荒れ果てていた。
机にはファイルに資料らしき紙が大量に挟まれていた。
そのファイルを開いてみる。
―――チャリン!
開いた途端、ファイルから何かが落ちた。
私はそれを拾い上げる。
「…203号室……?」
病人の部屋の鍵だろう。
私は一応それを持って行く事にした。
その鍵が落ちたすぐ傍に、懐中電灯を発見して、スイッチを入れてみる。
(明かりはつくから大丈夫ね)
私は懐中電灯の明かりをつけたまま、病院の二階へと上がろうとした。
―――…バタンッ!
その時、入口からドアの開く音が聞こえた。
私は咄嗟に懐中電灯の明かりを消した。
物の影に隠れて、ホルダーに閉まっていた銃を取り出して、それを構える。
入口をこっそり覗いてみると、顔をマスクで隠した二人組の男がアサルトライフルを手に持って、こっちに向かっている。
(まずい…!)
あの二人は服装から見て、東京を襲ってきたテロリストである事は間違いない。
だから、見つかったら殺されるだろう。
今いた後ろを振り返ってみる。
エレベーターがあるが壊れていて、作動できない。
目の前には階段があるが、そこまで向かうにはテロリスト達に姿をさらけださなきゃならない。
私は持っていた鍵をテロリスト達の方へと投げた。
「チャリン!」と音をたて、テロリスト達はそれに気づく。
(今だ…!)
テロリストが鍵に気を逸らしている瞬間、私は一気に前方に見える階段へと走りこんだ。
テロリストの一人が私に気づいたのか、手に持っていたアサルトライフルを構えて、それを撃ち出す。
―――ダダダダダァッ!
轟音がそこら中に鳴り響き、ロビーはあっという間に壊滅した。
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