[21:15] 高野 智基

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移動手段が徒歩、しかも隠れながら向かっていたため、駅まで着くのにかなりの時間を使った。 途中、テロリストと思われる奴等が道端で徘徊しているのを見つけた。   奴等は一体なんなんだ…。 映画等でよく見るライフル、マシンガンを構え、特殊なスーツを着て…。 あの装備の数々は異常じゃないか。 大体、こんな大きな事件が起こったなら日本政府は即座に対応するはずだ。 もしかして、国会議事堂は奴等に占拠されたのか…。 そうだとしたら、日本はテロリストに対して何も対抗できないぞ…。     (いや…。 そんな事は今はどうでもいい! とにかく、今は優子が無事な事だけを考えよう…)     俺は駅の中へと入っていった。                         「……酷い」     プラットフォームでは人の死骸が大量に飛び散っていた。 血と肉と銃弾で地面は埋めつくされている。 どの死体の顔も無惨に絶望した表情をしていた。 中にはまだ十歳くらいの子供の死体まであり、苦々しく思った。 俺は優子の死体が無い事を祈りながら、優子を探し始めた。       数十分、死体の中を歩いて、一人一人と確認したが、優子の死体はなかった。 この無惨な死体達には悪いが、俺はその事だけでも安堵する。     (優子はまだ生きているかもしれない!)     思わず、携帯電話を取り出して優子からの連絡が来ているかを確かめてみた。 だが、連絡は相変わらずないままだった。 俺から電話を掛けるが、やっぱり繋がらない。     「くそッ! どうしてだ! 優子、頼むから出てくれ!」     俺の思いは虚しくも、電話は繋がらなかった。   どうしてだ…。 電話に出れない状況にでもいるのか…。   俺は今度はメールで優子に連絡を送る事にした。
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