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俺はそうメールを送ったが、返事は返ってこなかった。
仕方なく、その場を立ち去ろうとした時に駅内で小さな少女の泣き声が聞こえた。
「……子…供…?」
俺は泣き声が聞こえてくる場所へと急いで向かった。
泣き声の持ち主は、中学生くらいの少女だった。
俺はすぐに傍に駆け寄る。
「君、大丈夫か!?」
「ぅ……ぅぅッ!」
少女の服には血が大量に付着していた。
きっと、死んだ人達の血だろう。
俺は少女の頭を撫でた。
「もう大丈夫だ。お兄さんが傍にいるよ」
「ぅ……ぅわぁぁぁん!」
少女は一人きりの恐怖から解放されたのか、一気に泣き崩れた。
俺は少女を、ただ黙って頭を撫で続けていた。
(きっと、この子は一人きりの恐怖に不安だったんだな…)
「君、名前は…?」
俺は少女に訪ねた。
少女はゆっくりと口を開く。
そして、泣くのを止めて、こう名乗った。
「…涼…風、……涼風<すずか>…です」
「そうか、涼風ちゃんか…。
よし、とりあえず、ここから出ようか。
安全な所に行かないと…」
俺は涼風へと、手を差し伸ばした。
涼風は戸惑いながらも、こう言った。
「お兄さんは…、あの人達の仲間なの?」
涼風の目は怯えきっていた。
“あの人達”とは、多分テロリスト達の事だろう。
「大丈夫、俺は君の味方だよ」
少し臭い言葉だったが、涼風を安心させるには十分な言葉だった。
「……うん!」
涼風は俺の言葉に頷いて、差し伸べた手を掴んだ。
<所持品>
・鉄パイプ
・携帯電話
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