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「どうやら、また始まったようだな…」
俺は逃げ惑う人達を見つめながら、自宅に潜んでテロリストが侵入するのを待っていた。
今から、約一時間前にあの放送がされてから、東京は血に染まりつつあった。
生憎だが、俺には家族がいないため、自分の心配だけで済んでよかったと思っている。
親父の訓練には感謝している。
これがなかったら、俺は今頃、確実に死んでいただろう。
リビングの床に倒れこんでいるテロリスト達の死体を見下ろした。
数分前に、俺の家は戦場になっていた。
自宅に二人、テロリストが侵入してきたのだ。
それまで、俺はこの事態の真偽が分からなかったために、家で寛いでいた。
だが、侵入してきたテロリストを見て、あの放送が事実だという事がわかった。
もちろん、テロリスト達はなりふりかまわず、手に持っていた銃を撃ってきた。
俺は自室に逃げ込み、隠しておいた銃を使って、テロリスト達を容赦なく殺害した。
人を殺す抵抗は確かにあった。
だが、そんな綺麗事はその場では通用しない。
俺は躊躇いを捨てて、引金を引いた…。
そして、今に至る。
俺はテロリスト達の服を奪って、それを着ていた。
俺の自動拳銃は弾が切れて使い物にならない。
テロリストが握りしめていたアサルトライフルを確認してみる。
二人のテロリストの持っていたマガジンを合わせて、五個。
「生き残る為には十分な装備だな…」
俺はアサルトライフルを担いで、テロリスト達の顔を確認した。
こいつ等、テロリストは紛れもなく、日本人だった。
それにこのアサルトライフル……。
これは日本の自衛隊が正式に使っている銃だ。
(まさか……な)
俺はこの馬鹿げたGameの黒幕が政府、自衛隊によって起こされたものと考えたが、すぐにそれを否定した。
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