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だが、その可能性も確かにあった。
まず、あの男はあの放送で日本語を話していた。
顔は仮面で隠しているも、声は若々しくはなかったが、しかし、あのはっきりした日本語の喋り方…。
俺はあの男は日本人だと予測する。
もちろん、確信はなかった。
だが、日本人がこのGameの司会者なら、テロリストの黒幕は日本人の可能性が高くなるのだ。
そこさえ、判明できたなら、何かつかめるかもしれない!
(まぁ、何にせよ。
確かめなきゃならない事が沢山あるな…)
テロリスト達が家に侵入してくる様子もない。
だが、いずれここも見つかるだろう。
そうならない内にも、違う場所に移動しなければならない。
俺はアサルトライフルを構えながら、外へと続くドアを開けた。
外では、悲鳴と銃声だけが聞こえて…、それ以外は何も聞こえない。
数時間前まで、だれもが皆、こんな事になるとは思わなかっただろう。
だが、これは現実だ。受け止めなければ<死>が待っている…。
俺は生存している者を捜すために、<新宿駅>へと来ていた。
駅の入口では見張りのような者が5~6人いる。
全員テロリストだ。
(これでは、中に入れないな…)
銃で対抗するにも、正面からでの一対五はかなりのリスクを伴う。
相手は人殺しのプロだ。
頭を使わなきゃ、こちらが殺される…。
ふと、自分が着ている服を思い出して、見てみる。
俺の今の格好はどこから見ても、テロリストそのものだ。
違いはマスクを被っていないくらいだろうか…。
(だが、これだけではまだ怪しまれるな…)
そこで俺は、すぐ傍に倒れている死体から、流れていた血を自分の体中に塗ってみせた。
それを終えた後、正面から堂々とテロリスト達が見張る駅入口へと、のろのろと歩き出した。
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