[21:53] 滝村 壮介

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だが、その可能性も確かにあった。   まず、あの男はあの放送で日本語を話していた。 顔は仮面で隠しているも、声は若々しくはなかったが、しかし、あのはっきりした日本語の喋り方…。 俺はあの男は日本人だと予測する。 もちろん、確信はなかった。 だが、日本人がこのGameの司会者なら、テロリストの黒幕は日本人の可能性が高くなるのだ。   そこさえ、判明できたなら、何かつかめるかもしれない!     (まぁ、何にせよ。 確かめなきゃならない事が沢山あるな…)     テロリスト達が家に侵入してくる様子もない。 だが、いずれここも見つかるだろう。 そうならない内にも、違う場所に移動しなければならない。   俺はアサルトライフルを構えながら、外へと続くドアを開けた。   外では、悲鳴と銃声だけが聞こえて…、それ以外は何も聞こえない。 数時間前まで、だれもが皆、こんな事になるとは思わなかっただろう。 だが、これは現実だ。受け止めなければ<死>が待っている…。                                               俺は生存している者を捜すために、<新宿駅>へと来ていた。   駅の入口では見張りのような者が5~6人いる。 全員テロリストだ。      (これでは、中に入れないな…)     銃で対抗するにも、正面からでの一対五はかなりのリスクを伴う。 相手は人殺しのプロだ。 頭を使わなきゃ、こちらが殺される…。   ふと、自分が着ている服を思い出して、見てみる。 俺の今の格好はどこから見ても、テロリストそのものだ。 違いはマスクを被っていないくらいだろうか…。     (だが、これだけではまだ怪しまれるな…)     そこで俺は、すぐ傍に倒れている死体から、流れていた血を自分の体中に塗ってみせた。   それを終えた後、正面から堂々とテロリスト達が見張る駅入口へと、のろのろと歩き出した。
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