44人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
その日は凄く静かな夜だった。
学校は夏休み。
私は明日、友達と買い物をする予定をしていたので、まだ終わっていない課題を終わらせようと勉強していた。
「ふわぁ~……」
今日、朝からずっと机に向かっていたから、少し疲れた。
「…ひと休みしよ」
私は自室から出て、リビングへと向かった。
私の母は七年前に癌で入院したので、家族は父だけだった。
その父も、現在海外で仕事をしていたため、この家には私以外誰もいない。
リビングの電気を着けて、テレビの電源を入れる。
適当にチャンネルを回しながら、自室を出る際に持ってきたポテトチップスを開けて、食べる。
「何かないかなぁ~…」
特に見たいと思う番組がなかった。
とりあえず、今丁度この時間帯にやっていたお笑い番組を見ながら、少し疲れを取ろうとそう決めた。
――――ビリッ…
「あれ…?」
今、一瞬だけだが、テレビにノイズが走り、背景が黒く歪んで見えた。
人影も映っているようにも見えたが…。
―――ビリッ、…ビリッ…
まただ…。
私は目を疑うように見る。
今度ははっきりとそこに映った。
画面が黒へと変わって、そこに仮面を着けた男が椅子に腰を掛けていた。
『東京の諸君。
突然ですまないが、どうか驚かないで欲しい』
仮面を着けた男が喋り出し、私はそれに注目する。
東京、と言っていたから、これを見ているのは私だけじゃないはず。
これは東京限定の臨時放送か何かだろうか?
『東京の諸君には、現在をもって、あるゲームを行なってもらう事した』
(……ゲーム?)
いきなり、また急な放送だった。
東京市民全員にどんなゲームをしろ、と言うのか。
最初のコメントを投稿しよう!