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……悲惨。
目に映る光景を言葉で表すならまさにそれだろう。
駅内は死体でうめられている。
血が、大量の血が、地面へと流れていた。
もうグロテスクと言うただ一言では表す事ができない。
あまりにも酷すぎる…。
「顔色が悪いようだが…、大丈夫か?」
肩を抱えていた兵士が俺に声を掛けてきた。
冗談じゃない。
この光景を見て、唖然としている俺に何事もなかったような顔をして話しかけてくる兵士達は、果たして本当に同じ“人間”なんだろうか…。
(くそ………!)
苦い思いを噛み締めながら、俺は兵士に誘導されて行った。
大体、10分くらいは歩いただろう。
護衛していた兵士が何か発見したのか、俺を抱えていた兵士を呼んだ。
「おい! こっちに生存者がいたぞ!!」
「本当か。……、殺すぞ」
今この男は何を言った…?
兵士はそれを平然とした口調で言っている。
「すまないが、ここで少し待っていてくれないか?」
そう言って、俺を通路沿いの壁へと座らせる。
俺を座らせた後、生存者を発見した所へと向かっていく。
「いやぁ……!」
生存者の髪を発見した兵士が乱暴に掴み、振り回している。
向かっていった兵士も、暴行を加えて、これではなぶり殺しに近い…。
このままだと、あの女性は確実に死ぬだろう。
俺が動かないかぎりは…。
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