[20:30] 高野 智基

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すぐ床に、鉄パイプが落ちてあり、それを拾う。 端から見たら、今の俺はかなり物騒に見えるかもしれない。     ――プルルルッ、プルルルッ!       携帯電話がなり出して、急いで取り出す。 警察からと思ったが、俺の予想は外れていた。     (――…優子!)     一番大切な事を忘れていた。 もしかしたら、優子も俺と同じような状況に立たされているかもしれないのだ。 すかさず、電話に出る。     『……智…基…』     優子の第一声は暗く、泣いた後のような声だった。     「優子!! 今どこにいる!?」   『わ……、私は……―――』     優子が現在位置を伝えようとしたが、電波悪かったために聞き取れない。     「優子、もう一度言ってくれないか?」     俺が再度、優子に訪ねた瞬間…     ―――バァァァァッ!!!     電話越しから、低くて重たい音が鳴り響いた。 俺が聞いた拳銃の音よりも、豪快な音だった。   それが聞こえた途端に優子からの電話が途切れる。     「……優子? 優子ぉーーッ!!」     電話を掛け直すも、優子は出てはくれなかった。   嫌な不安が胸に疼く。   優子は何者に襲われたのだろうか。 そして、最後にはこの人達のように…。  死体を見ながら、そこまで考えたが、その先を想像するのを止める。     (違う!!  優子は必ず生きている!!)       さっき、あの轟音が鳴る前に電車のアナウンスの声が聞こえた。 優子はこの待ち合わせ場所に来る時は、いつも電車を使っている。 この近所にある駅は、俺が知っている所はひとつしかない   もしかしたら――!!     「優子、絶対に生きていてくれ…!!」     俺は神にでも願うように目を瞑った。 そして、優子がいる可能性が高い<新宿駅>へと走って向かった。              <所持品>  ・鉄パイプ ・携帯電話 ・ ・
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