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ある美しい湖のほとりに水をごくごく飲んでいる2匹のやぎがいます。
今年の冬は食べ物が大変少ない。
そう、おすやぎがつぶやくとめすやぎも頭をあげ、
このままではこの仔たちも可哀想ですわ。
と期待と悲哀を込めた声でつぶやくように相手へ言葉を返す。
産齢期のやぎは落ち着きの中に、細く長く流れる滝のようなしたたかな生きるための執念を持っている。
この仔たちのためにできる事は全て、してやるつもりだ。
貴方がいてくれる事への私は感謝の気持、言葉では表せませんわ。
めすやぎのお腹にはもういつ生まれてもおかしくない子やぎ達が恐らく、醜い姿をひそめて眠っている。
めすやぎの言葉におすやぎは照れ隠しなのか単にかゆいだけなのかわからないような動きで、体のほうへ何度か角を往復させる。
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