6219人が本棚に入れています
本棚に追加
僕が混乱している間にも火の手は広がるばかりで…。
黒い煙がもくもくと立ち込めていく。
金澤、さんっ…!
どうすればいいの?
どうすれば…!!
「ま、まずい…火が早いぞ!!」
「このままじゃ屋上の人達が…!!」
金澤さん…!!
僕はずっと虐められてきた。
母さんの虐待にも耐えてきた。
母さんは、いいんだ。
だって僕を生んだのは母さんだから、仕方ないとも思うし。
けど…友達のは、辛かった…。
そんな地獄の淵から救い上げてくれたのは…
『…ギャーギャーうっせぇんだよテメェら』
金澤さん、だった。
僕はそんな金澤さんに何も出来ないの?
金澤さんはこのまま死んでしまうの…?
そんなの
嫌だ。
水…
もっと沢山の…
雨、だ!
《お願い…僕の心の声が届いたなら…ここにきて!この町に、沢山の雨を降らせて!!》
強く願う。
ねぇ、金澤さん。
明日は抹茶カステラ、一緒に食べようね?
とびきり美味しいの、頑張って作るから。
また、笑ってね?
君の笑顔が、一番…好きなんだ。
そのために僕が出来るのは、これくらいしかないけど…許してね。
突然、雨が降ってきた。
.
最初のコメントを投稿しよう!