始まり

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  そして次の瞬間… 「…なっ…な…!!」 茹で蛸のように、顔を真っ赤にした。 真っ赤な髪に真っ赤な瞳に、真っ赤な顔。 全部真っ赤っかだ。 「…テメッ…な、何言って…!!ふざけんな、ぶっ飛ばすぞ!!」 「え!?ど、どうして!?」 「うっせぇバカ!!死ね!!」 「うわっ」 いきなりフェンスに投げ付けられ、尻餅をつく。 金澤さんは屋上を飛び出していった。 僕は腰を摩りながら、首を傾げる。 「ど、どうして金澤さん、怒っちゃったのかな…」 『…相良』 何故か制服に溜め息をつかれた。 僕はわけがわからなくて、頭に?を浮かべる。 な、何で? 僕は本当に理由をわかっていなかった。 ただ… 「…金澤さん、可愛いかったなぁ…」 そう、思った。 放課後、また呼び出しをされた。 今度は体育館裏で。 「ヤッバ、楽しー!」 「いつもありがとよ、幽霊くーん?」 「キャハハハ!!」 あれ、僕のあだ名幽霊くんになってる。 この前まではゾンビとかゴミ虫とかだったのに。 僕は蹴られながら、そんなことを考えていた。 あーあ… 痛いなぁ…。  別に、正義のヒーローを待ってるわけじゃなかった。 そんなのいるわけないってわかってたし、 望んでもいなかった。 あ、僕Mじゃないよ? ただ… 世の中に絶望していただけ。 だからもう、人生を諦めてたんだ。
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