始まり

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  それなのに。 「…ギャーギャーうっせぇんだよテメェら」 何で? 「はあ!?んだと…って、え!?」 「お前、金澤!!」 どうして…。 「人が一服するたびに近くで騒ぎやがって…」 彼女は、煙草を投げ捨てる。 「ブッ殺す」 どうして僕に 生きる希望を与えてしまうの…? 全てを憎んでいれば、これ以上苦しまずに済んだのに…。 目の前で三人を相手にする金澤さんは、 とても美しかった。 「…か、金澤、さん…」 「…んだよ」 「あの…なんてお礼を言えばいいのか…」 僕の隣でまた煙草を吹かす金澤さんは、無傷だった。 金澤さんにボコボコにされた人達は、先程体を引きずりながら逃げていった。 金澤さんは僕のその言葉に、眉を寄せる。 「ハア?何でテメェに礼なんか言われなきゃなんねぇんだよ」 「…だ、だって助けて…」 「テメェを助けたんじゃねぇ。煩かったからだ」 金澤さんはそっぽを向く。 ちょっと顔が赤いから、照れ隠しなんだろう。 僕は、思わず笑顔になった。 「ありがとう、金澤さん」 「だ、だから違ぇっつってんだろ!?ブッ飛ばすぞ!!」 「うん、ありがとう」 「…お前…」 金澤さんは、頭を抱えていた。 .
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