力の使い方

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  朝、僕は目覚ましくんより先に起きる。 制服にも自分で着替え、テキパキと手際よく準備をしていた。 それを見て、みんなが目を丸くする。 『熱でもあるのかよ?』 『具合悪いの?』 「…失礼だなぁ、もう」 僕は口を尖らせる。 『じゃあ、何か良いことあった?』 僕はそのテーブルの問いに、にっこりと微笑む。 「うん」 学校が、楽しくなるようなことなんだ。 その笑顔を見て、制服が笑っていたので、ちょっと抓っておいた。 僕が、学校が楽しくなった理由はというと、 「…何ニヤけてんだよ気色悪ィ」 「えへへ。ごめんね」 僕の手作り弁当を食べながら睨む金澤さん。 赤いお箸の先には、たこさんウィンナーが刺さっていた。 あれから、僕たちは結構長い時間を共に過ごすようになった。 金澤さんがいれば僕に近付く人はいなくなるし、金澤さんも暇つぶしの相手になるって、多少嫌がりながらも一緒にいてくれた。 だからお礼に僕がお昼を作ってるんだ。 おやつ付きでね。 金澤さんはたこさんウィンナーを口に入れる。 「んで、今日のデザートは?」 「おはぎだよ」 「おはぎ!でかした!」 金澤さんは嬉しそうに笑う。 最近知ったんだけど、金澤さんは和菓子が好きらしいんだ。 だから僕は和菓子を作る。 だってその笑顔が見たいから。 恋…に近いのかもしれない。 でも僕と金澤さんじゃあ不釣り合い過ぎるにもほどがある。 だからこの気持ちを押し込める。 …友達。 それで十分。
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