プロローグ

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二人の少女は手をあわせ、いただきますを言うと、おにぎりをほうばった。 「サッちゃん、おいしい?」 「うん、うん。おいしいよ☆キッちゃんがつくったの?」 「そうだよ。サッちゃん、おなかすいてるとおもって。キッちゃんがつくったの。」 この、おにぎりは地下牢に入れられた姉妹を思ってつくったのだろう。 「ハム、ハム、ハム。ヴッ!フグ~~~~!!」 牢の中の少女が夢中に食べていて喉をつまらせる。 「サッちゃん!!はい、おちゃ!」 「ありがとう。」 お茶をコップにいれて差し出す。少女はお茶を受け取り飲み干す。 「あ、そうだ。はい、これおくすり。」 着物のふところから、薬を渡す。 牢の中の少女は、何かを感じとったのか、はっと顔をあげた。 「サッちゃん、どうしたの?」 「キッちゃん!呼んでる」 「えっ?」 耳を傾けた。しかし、何にも聞こえない。 「なにもきこえないよ?」 「めをつむって、よーくきいてみて」 言われたとおりに目を閉じて聞いてみる。 小さいが自分の名を呼ぶ声が聞こえる。 目を大きく開いてすぐ顔が曇る。 「ほんとだ。すぐにいかなきゃ。」
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