天国に持っていきたいもの

～入学～

薄い茶色いの自分よりも背が高いクローゼットを開けた。

そこにはジャンパーやフード付きのジャケット、チェックシャツなどのお気に入りの衣服がハンガーに掛けられている。

お洒落には気を遣うオレは、今日は何を着て行こうかと考えたい所だが、もう既にそれは決められている。

ほぼ毎日着る事になるから、取りやすいように１番左に掛けられているもの。

それは、中学生の頃から見慣れた学生服だ。

今日から通う事になるウチの高校に制服というものは存在しない。

つい最近卒業したウチの中学とこの高校はすぐ近く。

だから、高校の玄関からヒップホップのようなダボダボな服を着ている生徒が出て来る所や、ブレザーと学ランの生徒が一緒に通学している所も見た事がある。

制服自由という所に憧れて、この学校に入学を希望する中学生は数多くいる。

でも別にオレはそうゆう理由で入学した訳じゃない。

１番の理由はやはり…

近いから

だな。