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でも、制服自由は嬉しい事だ。
わざわざ新たに制服を買う事はしなくて済むし、生活指導の恐い先生が行う服装検査もない。
中学の時は本当に厳しかった。
髪なんかもうるさかったな…
そんなつい最近までの出来事をオレは懐かしみながら、まだ真っ白でしわ1つない新品のYシャツの上から学ランに袖を通した。
本当はオレも私服で学校に行ってみたいが、やはり服にこだわりのあるオレは毎日何を着て行くのか考えるのが面倒だ。
忙しい朝にそんな時間はない。
事実、私服でその学校に行く生徒はごくわずからしい。
中学と全く同じ格好で行けばいいさ。
体の成長はほぼ止まったみたいだし、中学の学ランをそのまま着て行ける。
ボタンは『高』と書かれたものに代えたが、他は何ひとつ変わらない。
クローゼットの右扉の内側に取り付けられている鏡で自分の顔を見た。
はたしてオレの姿は高校生に見えるのだろうか?
これから行く新たな場所に不安と緊張を抱きつつも、オレはどこか楽しみを感じていた。
振り返り、流れているテレビの朝のニュース番組を見る。
画面左上の時計を確認し、両手でクローゼットを閉めた。
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