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『オハヨー!ナリりん!』
『……。』
俺の後ろから声を掛ける少女は、木原遥。
何年経ってもあの呼び方を変えず、俺に付きまとう変な女だ。
『ちょっと~ッ!朝からダークねぇ…。』
俺の横に並び、うつ向いて歩く俺を覗き込みながら言う。
『ほっとけ…。』
コイツと出逢った切っ掛けは6年前…。
当時10歳だった俺は、公園でイジメられていたコイツを何となく助けた…。
犬をけしかけられ、今にも噛まれそうになっていたからだ。
俺には昔から変な力が有る…。
離れた場所に居ても、心からの叫び声が何となく解るのだ…。
公園に行くと、数人に囲まれたコイツが泣きながら、
『助けて…。』
と言って居るのが分かった。
俺は囲いの中に入り、無言でコイツを外に連れ出すと、群れの一番強い奴を殴り倒した。
『死ぬか…?』
俺の一言で、群れて居た奴らは蜘蛛の子を散らす様に消える。
コイツと二人になった俺は、何も言わずに公園から立ち去った。
数日後、
何処から調べたのか俺の家まで御礼を言いに現れたのだ。
俺の母親とコイツの母親が仲良くなり、今では互いに行き来する間柄らしい…。
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