案山子(かかし)

2/2
前へ
/6ページ
次へ
「こんにちは。すいません…ここはどこなんでしょう?あぁなんか変な質問だな」 頭を照れ隠しにカリカリかきながら返事を待つ 「ここか…ここがどこかはここに居る内はわからんだろうな。それより、どこに行きたいかを考えたかね?」 日に焼けた褐色の肌 深いシワは年齢がいくつくらいなのかを判らなくさせていた。 「どこへ?…んん、とにかく家に戻りたいかな。」 と、ふと先の轍を見ると轍が4つに別れていた 「この4本の道のどれかに行けばいいのか…」 老人は目を大きく見開き、驚いた顔を見せる そして、先に続く轍を眺め始めた。しかしどの道を見ているかはわからない 「どの道へ行けばいいと思います?」 顔を先の轍へ向けたまま 「わしはお前の家を知らんからなぁ…。それに道の先も知らん。」 どこか言葉尻が悲しそうに聞こえたが、表情はわからない。しばらく考えたが答えが出るわけもなく… 「ありがとうございます。とりあえず真っ直ぐ行ってみます」 こうして、知らない土地の知らない道を進み始めた
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加