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「あの若者…なんと悲しいことか。進む先がたった4本の道だとはな。」
老人が見つめる先…そこに轍は4本…
「道に見える物だけが道ではないのにの…。あの若者はここをどんな場所と思ったのか。ありえない風景や状況に疑問も持たず現実として受け入れたのか。そもそも自分が誰なのか…わかっていたのかも怪しいものだな。わしにすれば道はたった4本にはとうてい見えぬがな。若者自身が来た道が正しいとも思うがゆえに4本なのか。少なくともあの若者に道は5本だったはずなのに。この世界では道とは可能性であり、帰る物ではなく進む物。さて、わしも進むとするか」
老人は立ち上がる。しかし、その歩みは轍のないところを進んで行った
「道にとらわれなければ可能性は無限大。といってもこれは無茶過ぎるか」
老人は道を作るように進んで行った。老人の後には新しい轍が一本出来上がっていた
老人には進む道は何千、何万…いや、まさに無限大にあることになる
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