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大きな溜息をつき、その静寂を先に破ったのは、レピスである。
「ケチで結構」
小さな声で呟いて、それから彼は、胸に抱えたままだった分厚い本を、近くの書棚に仕舞い込んでしまった。
その様子を眺めながら、セピアは文字が途中で途切れたページを、頭の中に思い描く。
いくらページを捲っても、ひたすら続く、白い紙。
途切れた先は、一体何処へ向かおうとしていたのだろうか……。
「まるで、書き掛けの物語みたいね」
言いながら、セピアはそっと、心の中で呟いてみる。
――どうか、その路の先が、ハッピーエンドに向かっていますように……。
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