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階段を上りきった先にある部屋は、とにかく散らかっていた。
元は結構な広さがあったのだろうが、堆く積み上げられた書物の山が視界を遮り、その半分の広ささえ、感じさせない。
ふと足元へ目をやれば、床も様々な物で覆われて、足の踏み場もないほどである。
そのガラクタ置き場のような部屋の奥に探し人を発見できたので、セピアは、一向に動く気配を見せないその背中に向かって、声を掛けた。
「こんにちは、レピス」
ぴくり、微かに彼女の声に反応して、その少年は、振り向いた。
「……セピア」
僅かに開けられた窓から、先程の風が入り込み、少年の淡い、金色の髪を揺らした。
「今日も、来たんだね」
振り向いた少年――レピスの直ぐ後ろまでどうにか辿り着いて、セピアはもう一度、言った。
「こんにちは、レピス。……今日も、来ちゃった」
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