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初孫だったあたしは、特別可愛がられていた。
小学生の頃、まだ何に対してもやる気があったあたしは、よくクラス代表や学年代表などをしていた。
それを一番喜んでいたのはお父さんだ。
五年生の時、一学年上の卒業式で司会進行をする事になった。
その時も、あたしの卒業式でもないのに学校に来て、ラジカセで卒業式の様子をカセットテープに録音していた。
家に帰っても、嬉しそうにテープを聞いていたらしい。
夏休みや冬休みは、終業式の日から泊まりに行っていた。
寿司屋をやっていたので、よく手伝いをしていたのだが、
『しっかりしたお孫さんだね』とお客さんが言う度に、嬉しそうな顔をしていた。
一緒に市場に行ったりした。
釣りにも行った。
よく家の前で洗車をしてて、家事もやってた。
字や絵が上手かった。
口数が少なかった。
顔は怖かったし、たまにお客さんと喧嘩もしてたけど、本当は優しい人だった。
なによりあたしの父親だった。
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