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雪原の大地、キッサキシティ。
ここに来る間にバトルを申し込まれたトレーナーから、勝負後聞いた事を頼りに、身を裂く寒さを絶えながら船着き場にゲンは辿り着いた。
旅支度は軽装なため必要最低限の物しか入ってなく、普段着に黒いマフラーだけで凌いでいた。多少は波動を利用し体感温度を和らげているが足下から来る冷気は流石に身に染みる。
町入って直ぐの船着き場入口に居た船員に、話を聞くと船は今出たばかりで暫くしないと来ないと言う。
会話を理解していた波動ポケモンのルカリオが透かさず、
『マスターゲン。時間があるならポケモンセンターで少し温まった方がいいです。このままではマスターが風邪ひいてしまいます』
真剣な眼差しで主を見上げ、そっと冷えきった衣服に身を寄せ暖める。
「風邪までは大袈裟だが、少し休もうか」
パートナーの心遣いに感謝しながら、白に覆われた道を雪が沈む時に出る音、雪だるまや雪合戦など楽しむ声と溢れる笑顔を横目に、モンスターボールを思わせる朱を目指す。
あの漢が居るとも知らずに。
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