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洞窟を抜けると、森の中に集落を見つけた。
セシル「彼処がミストの村か。」
カイン「そうらしい。早くそのボムの指輪を届けて城へ帰ろうぜ!
そしたら陛下も認めて下さるさ。」
セシル「うん……そうだな。」
二人は村に着いた。
中に入ると住民達がセシル達を好奇な眼差しで見つめる。
辺境にある村なせいか、外から人間が珍しいようだ。
二人はそのまま奥に進んで行くと、広場らしき場所に出た。
すると《ボムの指輪》が眩い光を放ち始めた。
セシル「な、なんだ!
指輪が熱い!」
セシルは堪らず地面へ指輪を落とす。
すると指輪は閃光を放ち、爆発して砕け散った。
爆発の中から何が一斉に飛び出した。
よく見ると、赤い風船のような魔物であった。
無数の魔物は村人を襲い、火を吹き民家や畑を燃やし、膨張して膨らみ爆発をし始めた。
辺り一面火事になり、悲鳴やうめき声を上げ倒れる住民達。
一瞬で地獄絵図と化した。
カイン「これは!……」
セシル「陛下はこの為に僕らを……」
セシルは体を震わせ泣き叫ぶ。
セシル「何故だああぁ!バロン王っ!」
セシルは走りだし、近くの魔物に切りかかる。
魔物は真っ二つに切り裂かれ、爆発した。
セシル「ぐあっ!」
爆風で吹き飛ばされる。
カイン「大丈夫かセシル!」
カインが駆け寄る。
セシル「く、くそ……バロン王……」
カイン「シッ!静かに!」
耳を澄ますと、どこかから女の子の泣き声が聞こえる。
カイン「まだ生きている人が!あっちだ!」
二人は立ち上がり、声のする方へ走った。
すると緑髪の少女が倒れている女性の前で泣いていた。
セシル「君、大丈夫か!」
少女「ぅ……お母さんのドラゴンが死んじゃったから……お母さんも……えっえっ……」
セシル「え……」
カイン「そういえば聞いた事がある。
魔物を呼び出す力を持つ者……
確か《召喚師》!」
セシル「まさか僕があのドラゴンを倒したから、この子の母親も……」
少女が驚いた様子で後ずさる。
少女「じゃあお兄ちゃん達がお母さんのドラゴンを!」
少女は泣きながらセシル達を睨みつける。
セシル「まさか……君のお母さんを殺してしまうことになるとは……」
セシルは膝を落とした。
バロン王の言葉、ドラゴンを倒した事、魔物が暴れ焼き払った事。
全ての出来事が頭を巡り、セシルを絶望に陥れる。
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