谷間の村 ミスト

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カイン「どうやら陛下は、この村の召喚師を全滅させる為にオレ達を……」 セシル「……なんてことだ。」 するとカインは、緑髪の少女に近づいて行った。 カイン「……可哀想だが、この子も殺らねばならんようだな。」 カインは槍を構え、少女に向ける。 セシルは立ち上がりカインの腕を掴み止めにかかる。 カイン「殺らねばオレ達が殺られる! それに……陛下に逆らえるのか?」 セシル「こんな殺戮を繰り返してまで、陛下に従う気はない!」 セシルは剣を抜き、カインに向ける。 対峙する二人…… しばしの沈黙の後、カインが口を開く。 カイン「フッ……そう言うと思ったぜ。 一人でバロンを抜けるなんてさせやしないぜ。」 セシル「カイン……」 カイン「いくら陛下に恩があるとはいえ、竜騎士の名に恥じる真似をできるわけなかろう。 だが、バロンは世界一の軍事国。 オレ達二人がイキがった所でどうにもなるまい。 他の国にも知らせ、援護を求めんとな。 ローザも救いださんと!」 カインは槍を背負い、セシルの肩を叩いた。 セシル「ありがとうカイン……」 カイン「別にお前の為じゃないさ……」 セシル「……?」 カイン「それよりここは危ない。 早く村を出ないと。 あの子はどうする?」 セシル「僕らが連れて行くしかあるまい!」 少女は母親の前うずくまり、泣いていた。 セシル「さぁここは危険だ。 僕らと一緒に……」 セシルは少女を立たせようとした。 少女「イヤっ!」 少女はセシルの手を振り払い逃げ出した。 カイン「やむを得ん、無理矢理でも!」 少女「近寄らないでっ! ぅぅ……もう…いやぁ! みんな……みんな大っ嫌い!」 少女の体が光始める。 すると地面が揺れ始め、セシル達は倒れこんだ。 セシル「な、なんだっ!」 揺れは激しさをまし、地割れが起きる。 なんと割れた地面の間から巨人が這上がって来た。 カイン「し、召喚か……やはりこの子も!」 巨人は雄叫びを上げ、拳を地面に叩き付けた。 その衝撃で辺りの山までが崩れ始めた。 地割れが広がり、少女の足下にも亀裂が入り始める。 セシル「危ない!」 セシルは駆け寄り、少女を抱き抱える。 辺りが崩れ、村も地割れに飲み込まれた。 セシル達も飲み込まれ、山は崩壊した。
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