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ミストの谷を降り、森を抜けるとそこには広大な砂漠が広がっていた。
セシル「以前、紅い翼でここを通った時にオアシスを見かけたな。
この子も休ませないといけないな……」
セシルはオアシスに向かって歩き出した。
途中、巨大なムカデの魔物ハンドレッグと漁人の魔物デザートサハギンの群れに襲われたが、《暗黒》を使い難なく倒した。
セシル「身を削ってでもこの子は守らないと!」
しばらくすると湖の側にある村を見つけた。
村に入ると一人の老人が話しかけて来た。
ローブを着て、杖を持っている事から魔導師のようだ。
老人「おやおや、歩きで来たのか?遥々ご苦労じゃの。
カイポへようこそ。
……ん?お主が背負っている子。
なんだか顔色が悪いが。」
セシル「休ませたいんですが、宿屋はどちらでしょう?」
老人「そこの角を曲がってすぐじゃよ。
案内してやりたいが、すまんがワシも急いでいてな。」
セシル「いえ、ありがとうございました。」
セシルは頭を下げ、宿屋に向かった。
老人「ふむ。ワシも急いで追い駆けねば!」
宿屋に着いたセシルは、すぐに少女をベッドに寝かせた。
すると少女が目を覚ました。
状況が理解できないのか目が泳いでいる。
セシル「気がついたね。」
少女「?……!!」
セシルの顔を見て思い出したのか、顔を背ける。
セシル「……まだ、名前を聞いてなかったね。」
少女は口を開かない。
セシル「……君のお母さんは僕が殺したも同然。
許してくれる訳はない。
ただ、君を守らせてくれないか……?」
少女は尚答えない。
(………)
諦め、セシルも隣のベッドに横なった。
夜中、少女は目が覚めた。
隣からうなされた声が聞こえる。
セシルを見ると、顔が歪みひどく汗をかいていた。
セシル「……ぅぅ…すまない……みんな…みんな僕が悪いんだ……」
少女はその様子を見つめる。
すると、入口の方が騒がしくなった。
部屋の扉が乱暴に開けられ、数名の兵士が入って来た。
セシルはその音で目が覚め、飛び起きて少女をかばう様に前に立つ。
兵士「見つけたぞセシル!」
セシル「待ってくれ!陛下は……」
兵士「その陛下の御命令だ。
ミストの生き残りのその子供を引き渡せば許して下さるそうだ。
ミストの者は危険な存在らしいのでな!」
セシル「なんだって!?
少女「あ…あぁ……」
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